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2006年1月更新 p
2006年1月筆
会計や監査についての変化は、大きなものとなっています。
近年の著しい会計基準の設定・改正について記載すると膨大なものとなりますから、
このページでは会計の専門的な細かなことは記載していません。
個々の内容については触れませんが、今後の課題は次のようなものと思われます。
1.どんどん高度化していく国際的大規模上場会社を念頭においた会計基準の行く末
2.中堅企業に現実的な会計基準の模索(国際会計基準委員会でも検討が進行中)
3.非営利、公的部門における会計のバージョンアップ
4.上記会計に対する信頼性の付与制度としても公認会計士監査のあり方
(品質管理などとコストのトレードオフ関係に対して社会がどの程度を期待するか)
さて、以下は2001年時点で掲載していた内容です。
「企業会計審議会からの監査基準公開草案に対してコメントを提出しました」については、その後の会計士の会計監査への金融庁の行政と照らすと個人的には興味深いものがあります。
企業会計審議会が監査基準改定案について2001年8月末までコメントを求めていましたので、 次の意見を提出しました。 大規模上場企業の会計や監査が全てであると錯覚しがちですが、小規模会社や非営利法人の 会計や監査についての視点を忘れないようにすべきと思います。 具体的には、1.小規模な監査対象についての監査については、審査制度を設けなくてよいという要望 2.この監査基準は証券取引法以外に基づく監査、例えば小規模企業や非営利法人についての監査にも適用になるかどうかについて、明確化して欲しいという要望です。 9月28日までの審議では、審査不要の件については、取り上げられていませんし、取り上げられる感じもありません。監査基準の及ぶ範囲については、商法特例法監査については及ぶようですが、それ以外については当然の理解として及ぶという感じで審議されているように思われます。明確にして欲しいのですが・・・。 |
こちらをクリック→ 監査基準公開草案に対してコメント
退職給付会計を代表として、近年の会計基準は非常に精緻なものへ改正されてきています。その結果公認会計士にとってすら非常に難しいものとなっています。 会計が「精緻であるが理解できるのは一部の人である」のがよいのか、それとも「大雑把ではあるが、多くの人が利用できる」方が良いのか、私は後者であると思っています。 したがって、現在のアメリカ会計主導の一連の流れについては、いつか揺り戻しが来るのではないか、来て欲しいと思っています。それは会計だけの問題ではなく、アングロサクソンとの価値観の違いという根本に関係することで社会体制のあらゆる側面に共通することだと感じています。 |
会計や監査についてのひとり言です。こちらをクリック
これまで日本においては上場企業に関して大蔵省管轄の企業会計審議会が会計基準を
設定していましたが、
日本公認会計士協会・経済界・証券取引所・行政が協力して民間組織的な基準設定主体を
平成13年の7月に(財)財務会計基準機構が設立。
発端は、国際会計基準委員会(IASC)の機構改革です。
これまでは各国の会計士団体が理事となり、日本公認会計士協会もメンバーでした。
機構改革により、各国の会計基準設定主体がメンバーとなります。こうなると
日本では日本公認会計士協会は設定主体ではありませんからはずれますし、
会計基準設定主体としては大蔵省管轄の企業会計審議会が第一に考えられますが
IASCのメンバーになる基準を満たしているかどうか疑問視されていました。
そこでアメリカのFASBのような機関を日本でも設立する必要が生じました。
この対応をしっかりとしないと、日本は国際会計基準の
作成過程において発言力が無いに等しい事態になってしまう恐れがありましたが
基準設定機関を設立することとし、14人の理事の一人に日本から山田辰巳
公認会計士が選ばれましたので、一安心というところでしょうか。
でも他の理事は欧米中心ですから、特にアングロサクソン系のグロバリゼーション化
が進むことに注意を払っていく必要を感じます。
そもそも、国際会計基準は日本においてどの程度影響力があるのでしょうか。
基本的には、グローバルな活動をする企業のみ従わざるを得ないと思います。
上場企業であっても国内活動のみの会社は、企業会計審議会意見書や証取法にのみ
従っていればよいでしょう。しかし、国際会計基準と調和が取れるよう企業会計審議会
意見書が作成されますので、結局公開企業のすべてが国際会計基準の影響を受けることに
なります。
では中小企業には影響あるのでしょうか。
基本的は商法の影響下にありますので、証券取引法は関係ないことになります。
99年の公認会計士制度50周年記念行事で若杉企業会計審議会会長が発言されたように
企業会計審議会は中小企業の会計について強制する立場ではありません。
国際会計基準も当然日本の中小企業に関係ありません。しかし、同会議で国際会計基準
委員会の代表者は、公開企業から非公開企業に同基準が普及していくことを期待している
と発言していました。
今後商法の改正も考えられますから、中小企業も会計の動向に注意を払う必要があります。
非営利組織の会計基準はどうなるでしょうか。
日本においては非営利組織の統一的な会計基準を設定する機関は企業の場合と
同様ありません。
文部省が学校法人、厚生省が社会福祉法人などと各行政などがまちまちに会計基準を
作っています。
国際会計基準委員会は現在の所、非営利組織の会計についての活動をしていません。
以上がおおまかな日本における会計基準の設定主体の現状です。
日本において、公開企業だけでなく非公開企業も含めた会計基準、さらに非営利組織の
会計基準もあわせて策定する機関の設立を私は望んでいます。
本屋にキャッシュフロー関係の本が山積みされています。
ブームですがよく理解されていない面があります。公開企業が作成する
キャッシュフロー計算書は、過去の流れの表です。キャッシュフローには
もう一つ将来の予想の表があります。資金繰り表などと呼ばれているものです。
中小企業にとっては、経営者と銀行以外に決算書をじっくり読む人はいません。
したがって過去の報告より、将来の資金繰りの方が断然重要です。
この点では、証取法のキャッシュフロー計算書は直接は役立ちません。
しかし、キャッシュフロー計算書が導入されたことにより、過去も将来も
「キャッシュフロー」という考え方が大切であると多くの方が認識するきっかけと
なったことは有意義だと思います。
証券取引法が適用になっている会社のみが対象です。
従来から連結財務諸表が作成されていましたが、これまでは個別財務諸表が
中心の制度でした。
現在は連結財務諸表を重視する制度に変わり、伴って会計も一層の
精緻なものになります。(持分法、連結の範囲など)
かなり専門的なことですが、詳しくは日本公認会計士協会のページを参照してください。
http://www.jicpa.or.jp/n_topics/index.html
近時、国際会計基準とも調和するよう企業会計審議会からの上記のような意見書が
出されています。
これら意見書が証券取引法の適用対象外である一般の企業にも強制されるかどうか
について心配されている企業の方もたくさんいらっしゃいます。
この点について、大蔵省、法務省、日本公認会計士協会など関係団体も明確な
意見を公表していません。
私見ですが、企業会計審議会は大蔵省の機関であり、証券取引法対象会社のみに
強制力を持ちます。
従って、一般の会社には強制されないと考えます。
但し、中小会社であっても証券取引法適用会社の連結決算対象となる会社は
会計処理の統一性の観点から上記のような会計基準が適用されます。
(この場合でも中小会社の商法上の個別決算は従来通りでよいのではないかと考えます。
そして連結作業上で修正仕訳を加味すればよいと考えます)
なお、98年12月に商法計算書類規則が改正され、上記の会計基準を適用した場合の
表示について規定されました。これはあくまで、適用した場合の表示について
規定しているだけで、一般会社にまで処理を強制しているものではないと考えます。
蛇足ですが、一般会社に強制されないとしても上記のような会計処理は理論的に
好ましい処理ですから、経理能力に余裕があれば適用することを勧めます。
私は以上のように理解していますが、日本公認会計士協会は「税効果会計に関する
Q&A」を公表しており、下記の記述があります。
Q9:連結子会社及び持分法の対象となる関連会社に該当する商法上の中小会社
については、個別財務諸表で税効果を適用すべきですか
A :商法上、特段の定めがない場合は、公正なる会計慣行を斟酌することとされ
ており、財務諸表等規則が適用される有価証券報告書提出会社のほか、
商法上の大会社についても、税効果会計を適用することが必要と考えられます。
また、連結子会社及び持分法の対象となる関連会社に該当する商法上の
中小会社についても、個別財務諸表で税効果を適用し、連結に含めるよう
指導していくことが適当であると思われます。
このように解釈が確定しないのは、基本的には日本において、会計基準の設定主体
が存在せず、様々な省庁、団体がそれぞれ設定に関与していることに基因しています。
経済のグローバル化に伴い、国際会計基準が作成されています。
国際的な比較可能性を保つことが主眼ですから、海外でも財務諸表が
利用されている企業が対象となるでしょう。
国際会計基準委員会(IASC)は、大蔵省や米国のSECなどが加入している
証券監督者国際機構(IOSCO)との多国間の上場のための使用可能なコア会計
基準を完成させる合意に基づき一連の会計基準を発表しています。
つまりこれからすると、本来は国内のみの公開企業や非公開企業には関係がない
ことになります。
これまでの日本の会計は、商法、税法、証券取引法の3つの法律の調整をとった
トライアングル体制と言われていました。
しかし、平成10年度の税制改正で、たとえば賞与引当金や退職給与引当金の
段階的な廃止や縮減が決まりました。これらは会計の理論にそぐわないものです。
したがって、今後は課税するための税法と業績や財政状態を報告する会計は
別目的であることを前提に、会計監査を受ける会社については、会計理論に
沿った決算をした上で、税務申告目的では、別表で加算・減算して税額を計算する
ことになると思われます。
会計監査を受ける場合の監査上の取り扱いが平成10年に日本公認会計士協会から
出されていますので、ご参照ください。
一言で言えば、従来通り賞与引当金などを計上しなければなりません。
監査委員会報告第57号
「平成10年度の税制改正と監査上の取扱いについて」を参照下さい。
平成11年度から政令指定都市、都道府県について、従来からの監査委員による
監査に加えて、外部監査人の監査が強制されることになりました。
外部監査人は、地方自治体に精通した者、弁護士、公認会計士が有資格者と
法定されています。これらのものに委嘱することが困難な自治体(例えば委嘱する
対象となる上記の者がいない地域など)の場合は税理士も可能となっています。
注意しなければならないのは、地方自治体への外部監査は、現在上場企業等に
対して公認会計士が行っているような包括的な監査(つまり財務諸表全体が利用
者に誤った情報を提供していないことを証明する監査)ではなく、任意に選んだ
一部の案件についての監査ということになっていることです。
つまり地方自治体の決算全体が正しいことを証明するものではありません。
政党助成法に基づく政党への交付金に対しては、公認会計士が監査をしています。
しかしながら、政党本部から支部への交付金については、支部への交付金が正しく
交付されたかどうかだけチェックすることに法律で定められていますから、
支部がその後どのように使ったかは公認会計士監査の対象外となっています。
また、5万円以下の支出については領収証を会計士に提示しなくても良いと法定
されてもいます。
したがって、包括的な監査とは言えません。
資金を個人政治家が不正に使ったというような事件が起きないように、
法律の充実が望まれます。
日本公認会計士協会近畿会では、法律の施行前からこのような危険について
指摘する意見書を公表していました。