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NPO法人の会計と税務

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   2003年1月更新 S Sp

       更新情報

03/1 NPO法人の設立と運営(清文社刊、共著)を執筆しました。
    NPO法の改正とNPO税制の改正をコンパクトに解説しています。
02/9 中間法人及びNPO法人の会計と税務(全国公益法人協会 非営利法人2002年9月号原稿)掲載
01/9 NPOと中間法人の税務のポイント(中央経済社、税務弘報12月号原稿)掲載

   非営利法人の各組織形態における課税関係のその他の対比 掲載

   取材記事 非営利法人会計はどうあるべきか(ぎょうせい ガバナンス2001年8月号)掲載

   その他 細かな点をメンテナンス

    このページの記載の引用、転載については許可が必要です。ご連絡ください。

NPO法人の設立と運営(清文社刊、共著)を執筆(2002/12)
    NPO法の改正とNPO税制の改正をコンパクトに解説

中間法人及びNPO法人の会計と税務(全国公益法人協会 非営利法人2002年9月号原稿)掲載

NPOと中間法人の税務のポイント(中央経済社、税務弘報2001年12月号原稿)掲載

非営利法人の各組織形態における課税関係のその他の対比 掲載

取材記事 非営利法人会計はどうあるべきか(ぎょうせい ガバナンス2001年8月号)掲載

非営利法人の会計ができるだけ統一し、幅広い人に利用しやすいものとしていくことが望まれるという趣旨で記者に答えました。

 リンク

大阪府生活文化部 府民活動推進課(ボランティア・NPOグループ) 法律・条例、ガイドブック、申請書(PDF)など
内閣府NPOのページ 全国の申請・認証状況など
内閣府(経企庁)作成の「会計の手引き」 法律上、会計について細かく規定されていません。この手引きは一つの目安と考えて下さい。前半はやや難しい感じでしょう。中程の日々の記帳についての説明を充実して欲しいところです。最後の計算書類のひな型は参考になります。
 おおむね多くの方に役立つと思います。
大阪NPOセンター 中務がNPO「助け隊」の一員です
NPO/NGO Walker 編集委員会 メールマガジン市民活動の情報誌「NPO/NGO Walker」を編集、発行するNPO/NGO
   

 NPO法人の計算書類ー実態調査とモデル記載例(日本公認会計士協会近畿会2001/4)

 日本公認会計士協会近畿会は、平成12年12月までに大阪府に提出された98の特定非営利活動法人の計算書類について実態調査を行い、この度「特定非営利活動法人の計算書類ー実態調査並びにモデ
ル記載例ー」を発表しました。
 この冊子では、次のような間違いやすい点やより充実した情報開示について記載されています。
 多くの法人が法定されていないにも関わらず予算と決算を対比して開示しているなど好ましい点もありましたが、反面、一部に不備も見られました。
 不備の内容は資金の定義と収支計算書の記載や予算統制などについてであり、不備とは言えないまでも減価償却を実施していない、財産目録への明細の記載が不十分といった点も指摘されています。
 所轄庁が作成した計算書類のひな型を丸写しするのではなく、社員、寄付者、ボランティアなどの利害関係者に対しどのような情報開示を行うことが法人のミッション(使命)を遂行に役立つかとい
う観点から、情報開示を充実させて行くことが望まれます。
 また、約8割の法人が3月決算ですが、今年度の計算書類作成の参考になるよう「モデル記載例」も収録されています。
この冊子は近畿会から1部\400(送料別)で入手できます。
<問合せ>日本公認会計士協会近畿会 TEL 06-6271-0040
参考:読売新聞2001年5月11日記事はこちら

 NPO税制改正(2001/1現在分)

平成13年度税制改正で、一定の要件を満たすNPO法人へ寄付した場合、寄付者に税制上の特典を与える案が盛り込まれました。(つまりNPO法人が資金を集めやすくすることが狙いです)

内閣府の説明資料はこちら→内閣府PDFファイル

国税庁の説明資料はこちら→国税庁のページ 

寄付金税制についての基本的なことはこちら→「NPO税制」のページ

個人と法人ではもともと税制が異なりますので、個人が寄付した場合と法人が寄付した場合とで扱いが異なります。

この案については次のような批判があります。
  1.要件が厳しすぎて、該当するNPO法人は極端に少ないのではないか
      要件については「NPO税制」のページをご覧下さい。
            ちなみに公認会計士としての立場から言うと要件の一つの「外部監査」は
      簡単なものではありません。
  2.法人内部でのみなし寄付金制度が盛り込まれていない。
      「NPO税制」のページをご覧下さい。)
  3.法人税率そのものは軽減されていない。

私見では要件が厳しいのもやむをえないと思います。つまり現状において一般の社団、財団法人も寄付金についての優遇は受けていませんので、NPO法人においても他の非営利法人とのバランス上、並びに行政の監督が他の非営利法人より緩いということから、要件を緩くすることは困難だと思います。
税制上の特典については、公益法人や社会福祉法人など、また一般企業への課税とのバランスの観点から今後全体的に考慮されていくことだと思います。
特に、公益とは何か、非営利とは何か(単に配当をしないという定義の見直しを含め)それを誰が判断するかという根本的な議論が必要だと考えます。

「市民団体の会計と税務セミナー」ー 特定非営利活動法人を含む ー

実施報告
   日時 平成11年10月17日(日)
   参加者 公認会計士81名、外部一般 170名
   内容    市民団体の活動の基盤となる会計及び活動に伴う税務について、よく質問
       を受ける内容を中心として、基礎的な事項を具体例を用いてわかりやすく
       解説した。
       このセミナーに向けてA4サイズ40ページにわたる独自のレジュメを作成。
       入手希望者は、若干予備があるので下記まで。
   主催 日本公認会計士協会近畿会(TEL 06−6271−0400)
   

 概要

  平成10年3月に成立した特定非営利活動促進法により、これまで法人格を持たない任意団体
  (人格なき社団と言います)であったボランティア団体などが、特定非営利活動法人(NPO法人)
  という新たな法人制度が創設されました。

  メリット・デメリットについて関心が高いのですが、基本的なことだけを言えば、
         ・ 法人格を持つことによって、事務所を借りたり、銀行口座を持つことが法人名義でできます。
     つまり契約の当事者になれます。
     このことによって、役所への補助金の申請や一般から寄付を集めやすくなるのではないかと
     いう期待を持っている団体が数多くあります。
   ・ 税制上の特典は現在のところ厳しい要件があります。

  法人化を思いとどまっている団体もあり、その原因と考えられることは、税制上のメリットが少ないこと、手続きが煩雑に感じられていることであると思います。

  手続きが煩雑に感じられていることについて私見を述べれば、一般の会社の総務的な業務と
  比べれば、特別に煩雑とは感じられないような書類でも、管理的業務よりは活動に重心を
  置いているNPO団体にとっては煩雑に感じられているのではないかと思います。

  税制上の特典については、公益法人や社会福祉法人など、また一般企業への課税との
  バランスの観点から今後全体的に考慮されていくことだと思います。
  特に、公益とは何か、非営利とは何か(単に配当をしないという定義の見直しを含め)
  それを誰が判断するかという根本的な議論が必要だと考えます。

    ご相談では、組織の形態(正会員をどんな人にするか等)と法人税法上の収益事業に該当するか
  どうかについてのご質問が多いです。
  また日常の帳簿をどのように記帳すればいいかとか、決算書の様式についての質問も多いです。

  NPO法人の会計については、公益法人、社会福祉法人などを含め、すべての非営利組織
  の会計を総合的に見直す必要を感じています。(日本公認会計士協会近畿会は2000年11月に
  「非営利法人統一会計基準についての報告書」をまとめました。ご関心のある方は
  TEL 06−6313−2684まで)

  以下に、会計と税務についてご説明します。

  税務については、非常に細かな説明が必要になりますから、ごく簡潔にしか記載していません。
  今後、ご希望があれば詳しく記載することも考えたいと思っています。

                                 

 NPO法人の作成書類と開示

  事業報告書等 役員名簿等 定款等
特定非営利活動法人は
社員その他の利害関係人への閲覧に供する
毎年終了後3ヶ月以内に作成し、翌々々年末まで備え置き(つまり約3年間) 常に備え置き
所轄庁に提出(毎年一回)(注1) 所轄庁は過去3年間に提出を受けたものを閲覧に供す る 所轄庁は閲覧に供する

   注1 定款等の提出については、その記載事項に変更があった定款並びに当該変更に係る認証及び
       登記に関する書類の写しに限る。

  【事業報告書等】
   ・事業報告書 ・財産目録 ・貸借対照表 ・収支計算書

  【役員名簿等】
   ・役員名簿(前年において役員であったことがある者全員の氏名及び住所又は居所を記載した名簿)
   ・当該役員名簿に記載された者のうち前年において報酬を受けたことがある者全員の氏名を記載した書面
   ・社員のうち10人以上の者の氏名及び住所又は居所を記載した書面

  【定款等】
   ・定款もしくはその認証に関する書類の写し

                                    


 他の法人との決算書類等の相違

企業 公益法人 社会福祉法人 NPO法人
貸借対照表(資本の部) 貸借対照表(正味財産) 貸借対照表(純資産) 貸借対照表(正味財産など)
損益計算書(収益と費用・損失)  収支計算書 (収入と支出) 資金収支計算書 収支計算書 (収入と支出)
事業活動収支計算書
利益処分計算書       
  正味財産増減計算書    
  財産目録
  収支予算書
上場企業:公開とCPA監査

大法人 :CPA監査   
資本金5億円負債200億円

所轄庁に届け出
閲覧に供される(予算書も)
所轄庁に届け出
閲覧に供される
所轄庁に届け出
閲覧に供される(予算書は除く)
学校法人はCPA監査 都道府県の監査  

  ・ ( )書きの用語は特徴的に異なる用語です。
                                    


 収益事業と特別会計

   NPO法上及び法人税法上、収益事業とそれ以外を分けることになっていますが、
   NPO法での収益事業と法人税法における収益事業は定義が違います。
   従って、以下の4通りの事業種類がありえます。
   また、一般常識の「ボランティア」というイメージとも異なることもあります。

   会計の区分の場合分け

  A事業 B事業 C事業 (D事業)
NPO法上 本来 本来 収益 (収益)
法人税法上 非収益 収益 収益 (非収益)

 

   

法人税法上の分類

    非収益事業 収益事業
NPO法上の分類 本来事業 A事業  

A事業

 

B事業

B事業
収益事業 D事業  

D事業

 

C事業

C事業

NPO法上の報告では、A事業とB事業の合計を本来事業として報告する。( 赤字 の部分)
           C事業とD事業の合計を収益事業として報告する。( 青字 の部分)

法人税法上の報告では のA事業とD事業   の部分と、ピンクのB事業とC事業 の部分に分ける。

                            


 特定非営利活動法人にかかる税務の要点 

     基本的には、任意団体への課税と変わらない。(NPO法人化しても損も得もない)

@ 任意団体は法人税法上、人格のない社団等という区分に入っています。
  (但し、個人事業や共同事業と認められる場合は除きます。下記参照)
  特定非営利活動法人は法人税法上、公益法人等とみなされます。
  但し、公益法人に適用される税制上の優遇規定については除外されています。
       ・ 寄付金の取り扱いは普通法人とほぼ同じ
                                       寄付金を支払う場合
            寄付金を受け取る場合
            寄付した側の課税
                     ・ 税率は普通法人と同じ

  2001年の税制改正により、NPO法人が国税庁長官の認定を受けた場合には、認定NPO法人
  として、そのNPO法人に寄付をした個人、法人が税制上優遇される制度が創設されました。

    従って、結局の所、今の組織が人格のない社団等に該当するならば、特定非営利活動法人
  になっても課税関係は細かな点を除いては同じです。
           人格のない社団等の定義
              法人でない社団又は財団で、代表者又は管理人の定めがあるもの
                (法法2八、基通1-1-1、2、3)
                単なる個人の集合体ではなく、団体としての組織を有して統一された意
               志の下にその構成員の個性を超越して活動を行うもの。(社団の場合)
                代表者又は管理人の定めがあるとは、定款、寄付行為、規約等によって
                代表者又は管理人が定められている場合のほか当該社団又は財団の業務に
                係る契約を締結し、その金銭、物品等を管理する等の業務を主催する者が
                事実上あることをいう。

        団体が人格のない社団等と言えるかどうか

        個人事業、共同事業かもしれない

A 公益法人等(特定非営利活動法人が含まれる)も人格のない社団等も収益事業を営む場合に        限り法人税が課税される

    33種類の事業(後述)のどれかを行うこと(収益事業)
 特定非営利活動促進法では、「特定非営利活動法人はその行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、その収益を当該事業に充てるため収益を目的とする事業を行うことができる」と規定されています。
 ここでいう収益事業と法人税法上の収益事業とは、言葉は同じですが定義は別物です。従って、特定非営利活動促進法上は本来の事業であっても、法人税法上は収益事業に該当する場合があります。

   継続して営まれること
土地の造成や分譲、全集又は事典の出版などのように通常一つの事業計画に基づく事業の遂行に相当期間を要するもの、海水浴場の席貸し等又は縁日における物品販売のように、通常相当期間にわたって継続して行われるもの又は定期的に、若しくは不定期に反復して行われるものは継続して営まれていると判断されています。

   事業場を設けて営まれること
店などを設けない移動販売・委託販売なども含まれます。

B 法人税法上の収益事業で「儲け」が出なければ、税金を心配しなくて良い。                                 (消費税はF参照)

  人格のない社団等も特定非営利活動促進法も同じ扱い

  10万円でも出れば? → 確定申告

  税金の種類と申告書の提出先 法人税    → 税務署
                  道府県民税  → 道府県
                                事業税        →  〃 一つの用紙
                        市町村民税  → 市町村
  その他の税金:消費税、固定資産税、不動産取得税、登録免許税、印紙税、相続税

C 地方税の均等割(原則の税額は年間、道府県2万円、市町村5万円)

  収益事業を行っていなければ減免される場合がある。
  収益事業を行っていれば赤字でも均等割がかかる。

      4万円所得が出た場合?

     従って、収益事業を行っている場合  黒字 ⇒ 均等割 + 所得割                         赤字 ⇒ 均等割

   収益事業を行っていない場合  原則は均等割課税。但し減免される場合あり。

D 法人税法上の利益(課税所得と言います)の計算は損益計算書などで行います。

    従って申告をしなければならない場合に、法人税法上の所得の算定の基礎となる損益計算書
   などを作成し申告書に添付しなければなりません。(収支計算書という表題の書面が実質的に
    所得を計算するものである場合には、それを提出すればよいでしょう)

    なお、提出書類には収益事業以外の事業に係るこれらの書類も含める取り扱いとなって
   います。(法基通15-2-14)

E 収益事業の赤字を次年度以降(5年間)に繰り越すには、青色申告の届出が必要

F 消費税は、行った取引が法人税法上の収益事業に該当するか否かに関係なく、国内で行った    課税資産の譲渡等について課税される。

      課税資産の譲渡等という言葉の定義は、法人税法上の収益事業の定義と別物で、広範囲の
   取引が該当します(物品の販売や役務の提供など)。逆に非課税取引(有価証券や土地の
  譲渡など)や不課税取引(寄付金収入など)を理解し、それに該当しないものは課税取引と
  考えた方が理解しやすいと思います。

    基準期間(前々事業年度)の課税売上高が3000万円以下の場合は免税となります。

      会費収入については、対価関係があれば課税売上に該当しますし、寄付金的性格であれば
   課税売上に該当しません。(基通5-5-3、11-2-6)

G 源泉所得税

    職員、理事に対して給与を支払えば給与所得としての源泉徴収する義務が法人にあります。     原則として翌月10日までに源泉徴収した税額を納付しますが、給与の支給人員が常時       10人未満の場合には7月と1月に半年分まとめて納付する特例があります。

    個人に対して原稿料、講演料などの報酬を支払う場合にも源泉徴収をしなければなりま
   せん。(多くの場合10%)
        なお、原稿料や講演料などは納期の特例の適用がなく翌月10日までに支払わなければ
   なりません。    

    有償ボランティアなどに支払う金銭が給与に該当するか報酬に該当するかどうかは次に
   よります。
      「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続
   して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる」場合は報酬。
       一方「雇用契約またはこれに類する原因につき使用者の指揮命令に服して提供した
   労務の対価」の場合は給与。

H 収支計算書の提出

    年間収入金額が8000万円(法人税法上の非収益事業の収入を含む)を越える場合
   には、法人税の確定申告書を提出すべき場合を除き、事業年度終了後4ヶ月以内に収支
   計算書を税務署に提出しなければなりません。(人格のない社団等は提出義務がありま
   せん)


 他の法人との課税関係その他の対比  

            次のページにまとめました

            非営利法人の各組織形態における課税関係のその他の対比


 これまでのNPOの会計と税務関連講演実績(主なもの)

98年5月 大阪NPOセンター主催セミナー
      6月 大阪NPOセンター主催セミナー
   7月 日本NPOセンター主催NPOフォーラム98
   10月 大阪NPOセンター主催セミナー
   10月 日本公認会計士協会兵庫会研修会
99年2月 日本公認会計士協会中日本5会研究大会
   2月 財団法人大阪府男女協働社会づくり財団(ドーンセンター)セミナー
       2月 財団法人大阪生涯職業教育振興協会セミナー
   10月 日本公認会計士協会近畿会主催セミナー
      10月 大阪大学NPO公開講座
2000年3月 兵庫県主催 NPO大学NPO企業支援コース
   3月 NPO事業サポートセンター主催 「初めての決算実務」

   5月

大阪NPOセンター主催 決算対策セミナー
2001年2月 兵庫県主催 NPO大学NPOマネジメントコース
2002年11月 NPO大学院
2003年1月 大阪NPOセンター