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以下は、全国公益法人協会、月刊非営利法人2002年8月号に寄稿の原稿です。
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目次
T 中間法人制度の概要 1 制定の経緯 2 中間法人とは U NPO法人制度の概要 V 中間法人の会計 1 計算書類の種類 2 計算書類の公開 3 予算書の作成 4 監事 W NPO法人の会計 1 計算書類の種類 2 計算書類の公開 3 予算書の作成 4 監事 |
X 中間法人の税務 1 法人税、住民税、事業税 2 消費税 3 源泉所得税 Y NPO法人の税務 1 法人税、住民税、事業税 2 消費税 3 収支計算書の提出 Z 認定NPO法人の特例 1 税制優遇のかたち 2 優遇措置の内容 3 認定要件 4 認定された場合の有効期間 |
中間法人およびNPO法人の会計と税務 公認会計士・税理士 中務 裕之 平成13年6月に中間法人法が成立し、平成14年4月から施行された。 また平成10年に特定非営利活動促進法が施行され、6月28日現在約7400のNPO法人が設立されている。 非営利法人としては他に社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人などがあるが、近年創設された上記の2つの法人格の会計と税務について述べることとする。 T 中間法人制度の概要 1 制定の経緯 社団・財団法人やNPO法人のように広く公共の利益を目的とするのではなく、同窓会や親睦団体、互助会のように特定の者の利益を目的とする団体については、農業協同組合のような特別なものを除いて、一般的な法人制度がなかったため新しく制度が設けられた。 公益法人制度についての問題意識から平成8年以来同制度の見直しが検討されてきたところであり、公益法人の中には互助会、同業者親睦団体的な活動を行っている法人があることの是非についても検討されてきたところである。その流れの中で平成12年3月の「中間法人(仮称)制度の創設に関する要綱中間試案」が公表され、そこでは公益法人から中間法人への組織変更の規定が盛り込まれていた。しかし成立した中間法人法には公益法人から中間法人への組織変更についての規定は盛り込まれなかった。その理由は公益法人として税制優遇を受けて蓄積した剰余金が、主務官庁による監督がない中間法人に組織変更した後にどのように扱われるかということへの懸念からである。 2 中間法人とは 社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団を中間法人とした(中間法人法2一)。 後述のNPO法人とは、中間法人が「社員に共通する」=非公益目的であるのに対し、NPO法人が「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する」=公益目的であることが大きな相違である。 中間法人には、有限責任中間法人と無限責任中間法人の2種類がある。大きな相違点は、有限責任では300万円以上の基金という財産的な基盤が要求されていること、無限責任にはそれが必要とされない反面、社員に法人の債務についての連帯責任が課せられていることである。 設立及び運営の手続きは、社員が連帯して法人の債務について責任を負う無限責任中間法人の方が、有限責任中間法人より簡易であるといえる。また社員の責任の軽重などの相違があるために、会計における規定も後述のように異なっている。 設立についての公官庁の関与は少なく、準則主義によっている。具体的には株式会社、有限会社と同程度の規律である。 有限責任中間法人と無限責任中間法人との相違点について特徴的な項目を図表1にまとめた。 U NPO法人制度の概要 NPO法人については施行後3年以上が経過しており理解が進んでいると思われるので、特徴を要点のみ記すと以下である。 □ 不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する □ 営利を目的としない □ 次の法定された12の活動のいずれかを行うこと ◆保健、医療又は福祉の増進を図る活動◆社会教育の推進を図る活動◆まちづくりの推進を図る活動◆文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動◆環境の保全を図る活動◆災害救援活動◆地域安全活動◆人権の擁護又は平和の推進を図る活動◆国際協力の活動◆男女共同参画社会の形成の促進を図る活動◆子どもの健全育成を図る活動◆前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 □ 株式会社における資本金や財団法人における基本財産のような資産の拠出は求められていない □ 法律要件を満たしておれば法人が認証されるという準則主義であり、認可制度ではない。公益法人などよりははるかに公官庁の関与が少ないが、都道府県または内閣府の認証が必要であるという点で中間法人よりは関与が多い。 V 中間法人の会計 1 計算書類の種類 中間法人法9条Cにおいて商法を準用して貸借対照表、損益計算書の作成を規定しているほか、有限責任中間法人については、貸借対照表、損益計算書、事業報告書、剰余金の処分又は損失の処理に関する議案、附属明細書の作成が規定されている(中間法人法59@)。 これでわかるように、これまで非営利組織(社団・財団法人、社会福祉法人、NPO法人など)において作成を義務づけられていた収支計算書と財産目録が作成書類から除かれ、一般企業と同様の計算書類が規定されているところが大きな特徴である。 会計について商法を準用しているので条文を図表5に記載した。 2 計算書類の公開 有限責任中間法人の計算書類は定時社員総会の1週間前から5年間主たる事務所に備え置かなければならない。社員及び法人の債権者は計算書類の閲覧又は謄本若しくは抄本の交付を請求することができる(中間法人法61)。 無限責任中間法人については計算書類公開の規定がない。これは無限責任中間法人が小規模で、社員同士の連帯が強く閉鎖的なケースが想像され、また外部に対して無限に連帯して責任を負うことから計算書類を公開する必要性がないと考えられたからと思われる。 3 予算書の作成 営利法人に適用にされる商法を準用しているので予算書の作成は規定されていない。他の非営利法人では、予算準拠主義に従って収支(損益ではない)について予算を設定している。中間法人については収支計算書の作成が規定されておらず、損益計算書が作成されることになっている。しかし収支計算書と呼ぶか損益計算書と呼ぶかは別として、現実問題として同窓会などにおいて会員に対し予算を提示し、それに従って活動するということが予想される。したがって義務ではないが自発的に予算書を作成する中間法人も多いのではないかと想像する。 4 監事 有限責任中間法人は監事を1人以上置かなければならない(中間法人法51)。そして監事は業務を監査し、必要に応じて業務及び財産の状況を調査することができる(中間法人法55)。また計算書類は監事の監査を受けなければならない(中間法人法60)。 W NPO法人の会計 1 計算書類の種類 財産目録、貸借対照表、収支計算書、予算書を作成しなければならない(特定非営利活動促進法27)。 公益法人でいうところの正味財産増減計算書が法定されていないため、収支計算書と貸借対照表の連関がとれず、連関について注記などにより何らかの開示をしないと計算書類を理解しにくい。 計算書類の様式について法定されていない。内閣府(旧経済企画庁)から「会計の手引き」が発行されており参考になる。また筆者が委員長としてとりまとめにたずさわった日本公認会計士協会近畿会(TEL06−6271−0400)非営利会計委員会が作成した「特定非営利活動法人の計算書類ー実態調査並びにモデル記載例」(平成13年4月刊)にも様式例を記載している。 特定非営利活動法人はその行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、その収益を当該事業に充てるため収益を目的とする事業を行うことができると規定されている(特定非営利活動促進法5)。この収益事業を行った場合は特定非営利活動と区分して経理しなければならない(特定非営利活動促進法5A)ので、計算書類を分ける必要がある。また後述の法人税の関係でも、法人税法の規定に従って収益事業の区分が要求されている。実務上、非常に事務手数がかかることとなっている。 2 計算書類の公開 社員その他の利害関係者から閲覧の請求があった場合には正当な理由がある場合を除いて閲覧させなければならない(特定非営利活動促進法28)。 また、毎年1回所轄庁に提出しなければならず、所轄庁は過去3年間分について請求があった場合には閲覧させることになっている(特定非営利活動促進法29)。 3 予算書の作成 収入及び支出は予算の基づいて行うことと規定されている(特定非営利活動促進法27一)。予算について正しい理解がなされていないケースを散見するが、予算は支出前に立てるのが原則である(予算事前主義)。また予算超過をする場合の手当として@勘定科目間の予算の流用、A予備費の使用、B予算の補正がある。法人の実情の応じた例外規定を含めて予算についての規程を整備しておくことが望まれる。 また予算は社員総会で決定すると法定されているわけではないので、緊急性を優先する法人などでは機動的に編成、補正できる機関で予算を決定するよう規定しておけばよい。 なお、予算書は作成が法定されているが、所轄庁への提出書類ではない。 4 監事 監事1人以上をおかなければならず(特定非営利活動促進法15)、監事は法人の財産の状況を監査することとされている(特定非営利活動促進法18)。 X 中間法人の税務 1 法人税、住民税、事業税 格別の規定は設けられていないため、普通法人と同様の課税がなされることとなる。 したがって、例えば同窓会費の収入も法人税法でいう益金として扱われることになり、経費を差し引いた後の剰余した金額は所得として課税されることになる。 現行の規定では人格なき社団であるならば、同窓会事業は法人税法に定める33の収益事業に該当しないため、余剰金が生じても課税されないこととは対照的である。税率などの両法人格の相違については図表2を参照されたい。 一方後述のように、NPO法人の場合は人格なき社団と同じく、法人税法上規定された33の収益事業(図表3)から生じた所得のみが課税の対象となる。 また、中間法人には赤字であっても地方税の均等割が課せられ、原則の税額は年間、道府県2万円、市町村5万円である。NPO法人は収益事業を行っていない場合には均等割が課せられない場合がある。 2 消費税 中間法人は消費税法上同法別表3に掲げる法人、すなわち公益法人などと同様に扱うこととされている(中間法人法156)。 課税資産の譲渡等について消費税が課される。基準期間(2事業年度前)の課税売上高が3000万円未満の場合は納税義務が免除される。 公益法人と同様に扱われるということは、特定収入などの計算を行うことが一般法人との相違することとなる。 現状では人格なき社団たる同窓会などが徴収する会費について不課税として扱っている場合が多いと思われるが、対価性の有無により検討する必要がある場合もあると思われる。 3 源泉所得税 法人への課税ではないが、法人が徴収義務者である源泉所得税について留意的に記載することとする。 法人が職員などへ給与を支払う場合やセミナー講師へ講演料を支払う場合、一定の場合には法人において所得税の源泉徴収を行わなければならないので失念しないように気をつけなければならない。 支払う金銭がどのような性格のものかによって徴収する金額が異なるが、特に有償ボランティアなどに支払う金銭については報酬か給与か判断しにくい場合がある。次のことを原則として判断する。 「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる」場合は報酬である。 一方「雇用契約またはこれに類する原因につき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価」の場合は給与である。 Y NPO法人の税務 1 法人税、住民税、事業税 (1)法人税法上の優遇の有無 特定非営利活動法人は法人税法上、公益法人等とみなされるが、公益法人に適用される税制上の優遇規定については除外されている。 □ 税率は普通法人と同じ □ 寄附金の取り扱い ・寄附金を支払う場合、普通法人とほぼ同じ ・法人内で収益事業から非収益事業へ寄附をするみなし寄附金制度がない なお、昨年の税制改正で、寄附した側の課税が優遇される認定NPO法人制度が設けられたので後述する。 「現在任意団体だが、NPO法人になると税金面で損をするのか」という質問をよく受けるが、税法の規定上は図表2のようにNPO法人と人格なき社団の税制上の扱いは基本的に同じであり、法人化による損得はない。 (2)収益事業 公益法人等(特定非営利活動法人が含まれる)は収益事業を営む場合に限り法人税が課税される。 この収益事業とは、法人税法に規定されている33種類の事業(図表3参照)であり、それを事業場を設けて継続して行う場合に(以下収益事業を行うという)法人税等が課される。 特定非営利活動促進法では、「特定非営利活動法人はその行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、その収益を当該事業に充てるため収益を目的とする事業を行うことができる」と規定されている。ここでいう収益事業と法人税法上の収益事業とは、言葉は同じだが定義は別物である。従って、特定非営利活動促進法上は本来の事業であっても、法人税法上は収益事業に該当する場合などがあるので注意が必要である。 (3)地方税の均等割 原則の税額は年間、道府県2万円、市町村5万円であるが、NPO法人の場合は、収益事業を行っていなければ減免される場合がある。 一方、収益事業を行っていれば赤字でも均等割がかかる。 (4)その他 当然のことであるが、法人税法上の収益事業で「儲け」が出なければ、税金を心配しなくて良い。 また収益事業の赤字を次年度以降(5年間)に繰り越すには、青色申告の届出が必要である 2 消費税 消費税は、行った取引が法人税法上の収益事業に該当するか否かに関係なく、国内で行った課税資産の譲渡等について課税される。 課税資産の譲渡等という言葉の定義は、法人税法上の収益事業の定義と別物で、広範囲の取引が該当する。したがって法人税は発生しないが、消費税は納税の必要があるという場合があるので注意を要する。 3 収支計算書の提出 年間収入金額が8000万円(法人税法上の非収益事業の収入を含む)を越える場合には、法人税の確定申告書を提出すべき場合を除き、事業年度終了後4ヶ月以内に収支計算書を税務署に提出しなければならない。(なお、人格のない社団等は提出義務がない) Z 認定NPO法人の特例 平成13年に創設され、10月より施行されたNPO法人に対する税制優遇であるが、優遇が少なく、また要件も厳しいという意見があった。その予想の通り平成14年6月時点で認定NPO法人の数はわずか6法人にとどまっている。要件については平成14年税制改正でわずかながら緩和された部分がある(後述2(1))。 1 税制優遇のかたち 非営利法人に対するこれまでの税制優遇から考えて、NPO法人にも導入される可能性のあった税制優遇のかたちは、図表4に記載しているものである。 1つは法人税法上の課税所得に対する税率の軽減である(図の@)。2つ目は法人内における法人税法上の収益事業から非収益事業へのみなし寄附金制度である(図のA)。3つ目が今回の税制改正で導入された、寄附をした外部者についての税制優遇である(図のB)。これによりNPO法人が寄附金を集めやすくなる効果が期待されている。1つ目、2つ目は導入されていない。 なお、NPO団体の中には認定NPO法人になれなければ、「格下の」NPO法人になってしまうのではないかと懸念する向きもある。このような法人に対しては、あくまで税制優遇のための税法上の規定が新設されただけであり、NPO法上の規定で別格の法人が誕生するのではないことを伝える必要がある。 2 優遇措置の内容 (1)法人が寄附した場合(法人税) 認定NPO法人に対し、特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金がある場合には、当該認定NPO法人に対する寄附金の額は、一般の寄附金の損金算入限度額とは別に、特定公益増進法人に対する寄附金の額と合わせて損金算入限度額の範囲内で損金算入される(措法66条の11の2)。 (2)個人が寄附をした場合(所得税) 認定NPO法人に対し、特定非営利活動に係る事業に関連する寄附(その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く)を行った場合には、その寄附に係る支出金は特定寄附金をみなして寄附金控除が適用される(措法41条の18)。 (3)個人が寄附をした場合(相続税) 相続又は遺贈により財産を取得した者が、認定NPO法人に対し、特定非営利活動に関連する贈与として、取得した財産を贈与した場合には、その贈与により贈与をした者又はその親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となる場合を除き、その贈与をした財産の価格は相続又は遺贈に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入されない(措法70条@I)。 ただし、その贈与を受けた認定NPO法人が、贈与のあった日から2年を経過した日までに認定NPO法人に該当しないこととなった場合又はその贈与により取得した財産を同日においてなおその公益を目的とする事業の用に供していない場合には、その贈与をした財産の価額はその者の相続税の課税価格の基礎に算入される(措法70条AI)。 3 認定要件 認定NPO法人となるためには非常に厳しい要件を満たさなければならない。 要件は細かく定められているが、本稿ではイメージを持っていただくためにあえて不正確な表現であるが平易な説明にしている。実際の判断にあたっては法律、施行令、施行規則を参照いただきたい。 (1)総収入金額のうち寄附金総額が1/3以上であること。(措令39条の22の2@) 同一の者からの寄附金のうち、寄附金総額の2%を越える部分については寄附金総額に含めないので、特定の人からの多額の寄附にたよらず、広く寄附を募っている法人が対象となる。とはいえ3000円未満の寄附金は算式に含めないこととなっている。 なお従来は、役員又は社員からの寄附金について一定の場合には寄附金総額に含めない(つまり認定されにくくなる)こととなっていた(旧措規22条11の2A二)が、平成14年の税制改正で改正され、平成14年4月1日以降の認定については含めることとされた。 (2)同一市町村内における寄附金収入、特定非営利活動などが80%以下であること。(措令39条の22の2A) 公益という観点から一つの市町村ではなく広い地域で活動していることが要件となっている。 これについては地域に根付いた福祉サービスなどを行う法人が対象からはずれてしまうという批判がある。 (3)事業活動の50%以上が会員など特定の者に対するものでないこと。(措令39条の22の2B) 会員等への資産の譲渡等、会員等相互の交流などの比重が50%以上の場合は認定されない。会員になることについては不特定多数に門戸を開いているが、活動は会員を対象とするような法人は認定されないことになる。となると会員制度を見直すと認定要件を満たすことができる場合もあると考えられる。なお会員の定義は施行規則22条11の2Eを参照されたい。 (4)運営組織と経理について以下を満たすこと。(措令39条の22の2C) @ 役員・社員のうち特定の者の親族等のグループが1/3以下であること A 会計について公認会計士の監査を受けていること。又は法人税法施行規則53条から59条までの規定(青色申告者の記帳要件)を満たしていること。(措規22条11の2L) 公認会計士の監査を受けることはその法人の会計の適正性について信頼性が高まり好ましいことであるが、費用面などの課題もある。NPO法では複式簿記によらずとも、正規の簿記の原則に従って記帳していればよいこととなっているが、多くの一般企業と同様に青色申告者の記帳要件を満たす経理は困難ではないので、この要件を満たすことは問題ないと思われる。また申請を行うことにより、法人税法上の収益事業に係る欠損金を5年間繰り越すことができるというメリットを享受できることになる。 B 費途が明らかでない等の不適切な経理を行っていないこと (5)事業活動の内容について次の要件を満たしていること。(措令39条の22の2D) @宗教・政治活動を行っていないこと A役員、社員、従業員などに特別な利益を与えないこと B総事業費のうちに特定非営利活動に係る事業費の占める割合が80%以上であること C受入寄附金の総額の70%以上を特定非営利活動に係る事業費に充てていること。など BとCの基準を満たしているかどうかを証明するためには、管理費と事業費を分けるなど記帳時から注意が必要である。 (6)計算書類、役員名簿などの閲覧の請求があった場合には閲覧させること。(措令39条の22の2E) 認定NPO法人は通常のNPO法人が行う情報公開に加えていくつかの事項を公開しなけれならない。その中には20万円以上の寄附者の氏名、住所と報酬または給与を得た役員又は従業員の氏名と金額の公開が含まれている。プライバシーに関係する点であり、公開しなくとも国税庁が調査できるようにするだけで十分ではないかと考える。 (7)法令に違反する事実などがないこと。(措令39条の22の2F) (8)認定の申請する事業年度の開始の日において、設立の日以降1年を越える期間が経過していること。(措令39条の22の2G) 通常設立初年度の期間は丸1年でないが、その場合でも第3事業年度には認定申請できる。 (9)法令に基づく行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当の理由がないことについて、所轄庁から証明書の交付を受けていること。(措令39条の22の2H) (10)(1)から(7)までは申請の直前2事業年度において満たす必要があり、さらに(4)から(7)については認定を受けるまで満たしておく必要がある。(措令39条の22の2I) 金額的な要件で満たすことが難しいと考えられる(1)〜(3)の要件については、直前2事業年度において満たしておればよいので、言い換えれば申請年度や認定後の期間については満たしていなくても、認定NPO法人であり、寄附者に税制上の優遇措置があることになる。(この場合次回の認定申請時には条件を満たさないことになることに留意) 但し、相続人等が行った認定NPO法人に対する相続財産等の寄附特例の適用にあたっては、贈与のあった日から2年を経過した日までに認定NPO法人に該当しないこととなった場合又はその贈与により取得した財産を同日においてなおその公益を目的とする事業の用に供していない場合には、その贈与をした財産の価額はその者の相続税の課税価格の基礎に算入されることなっているので注意を要する。(措法70条AI) 4 認定された場合の有効期間 認定の有効期間は、国税庁長官の定める日から同日以降2年を経過する日までの期間である(措法66条の11の2B)。更新の制度がないので2年ごとに申請を行わなければならない。 なお、国税庁のホームページhttp://www.nta.go.jp/category/npo/npo.htmから参考資料を入手できる。 |